ディスクだけです。 『あの頃・・・』監督 川手敦夫 「赤い扉」以降、実に10年ぶりとなる長編大作「あの頃…」( 1 時間47分)を完成させた。 今は都会で暮らす中年のオヤジが衝動的に生まれ故郷に旅をするが、その地で30年も前に別れ別れになった友との謎が解ける…。というストーリー。回想シー ンが 1969 年? 1972 年ということもあり、当時のレトログッズが多数登場したり、(アポロ11号の月面着陸)や(ビートルズの解散)、といった当時のトピックおよび、当時のテ レビや映画の話題などもストーリーにからみながら昭和という時代に青春時代を過ごした世代には思わず懐かしくて胸熱くなる作品を目指している。そして、驚 きのラストは…それは観てのお楽しみ。 昔の幼馴染みが特殊な能力(予知能力)を持っていたり…と、ミステリアスな展開は、以前の川手作品を継承しており(「青幻宮」の時ように、今回は実在した 予知能力者の事を充分研究した上で台本を仕上げている)、オレンジを基調としたレトロな色彩は、今までの作品以上に鮮やかである。 また、今回はプログレッシブのシネサイズでの撮影という、今までとは違いより映画的な作品に仕上がっている。しかし、何と言っても今回の最大の特徴は、島 根県益田市の大浜漁港という絶景のロケーションにある。日本人のもつ共通の古里の風景がそこにはあり、観る者のそれぞれの「あの頃…」を触発し、誰もがそ れぞれ自分自信の昔を、懐かしく感じる事ができるはずである。 3人の若者の、とってもレトロでとっても切ない物語…。川手監督自身にとっても「今まで作った中で最も好きな作品」となった。