輸入盤
1950年代にDECCAレコードなどに吹き込まれたジミー・スコットによる歌唱を、
1990年代後半になってから、Orin Keepnewsがひろい集めて一つのアルバムにまとめた、
往年の録音の発掘・編集アルバムとでもいった体の作品である。
ゆえに録音は古いが、アルバムの制作年は比較的新しく、
デジタル・リマスターも施されている。
Track 1-7 ライオネル・ハンプトン楽団、
Track 8-11 ビリー・テイラー楽団、
Track 12-15 ラッキー・トンプソン楽団、
これら3楽団との共演を収めたスタジオ盤である。
ハンプトン楽団との共演が1950年の録音、
ビリー・テイラーとラッキー・トンプソン楽団の録音が1952年のものである。
選曲は主にラブ・バラードで占められており、
ダンス・ホールのチーク・タイムに演奏されそうな楽曲が並んでいる。
夜の小粋なバーに似合いそうな、メロウでスローなスタンダード集である。
ジミー・スコットは50〜60年代にかけて、
ハンプトン楽団のボーカル担当として活躍した男性ボーカルである。
その後、サヴォイ・レコードなどレコード会社との契約トラブルから、
20年以上ものあいだ音楽業界から長く遠ざけられて、
90年代になってようやく復権を果たした、不遇の名シンガーである。
復活後の枯れた歌唱でも名声を博したが、
この作品では往年の艶のある歌唱が余すところなく録音されている。
男性ボーカルながらハイ・キーの澄んだ歌声は、”天使の歌声”などと称された。
レコード会社とのトラブルの際には、
ジャケット写真を女性シンガーのように装われたことが、エピソードして残っている。
ビリー・ホリデイと並べて聴いて、何ら遜色を感じない、
憂愁のある、それでいて陰鬱ではない透明感のある名シンガーである。