Schubert Impromptus D 899 & D 935 Radu Lupu Frantz Peter Schubert(1897~1828)の作品については、よく聴くようになっても、まだ彼の作品を十分に聴きこなせていない、と言う気が、いつもしてならない。 こうして名手Radu Lupu(1945~2022)によるピアノ・ソナタを聴いていても、良い曲だな、でも、落ち着かないんだよね、などと言い訳してしまう。 Schubertが死の3年前に作曲した第16番イ短調ソナタなど、以前だったら恐らく聴かなかっただろう。それもBeethoven(1770~1827)のピアノ・ソナタほど、堂々としていないから、と言う専門家ではない、という言い訳をしながら……。 それでも、このイ短調ソナタを聴いていると、Lupuの指のせいかもしれないが、引き込まれるような魅力を感じてしまうのである。 第1楽章:モデラート、第2楽章:アンダンテ・ポコ・モッソ、第3楽章:スケルツォ、アレグロ・ヴィヴァーチェ、トリオ:ウン・ポコ・ピウ・レント、第4楽章:ロンド、アレグロ・ヴィヴァーチェ、………、こうしてひととおりの解説を読んでも、残念ながらこの不思議な名曲の魅力を表現できないもどかしさに捕らわれる。 Lupuの指による、Schubertのソナタの襞を解き明かすような演奏、やはりすばらしい。