ガリシアン・トラッドの素朴さと、シャビエル・ディアスの持つ音楽的洗練が見事な作品となって登場!
ガリシアを代表するグループ、「ベログエト」のメンバーでもあったシャビエル・ディアスの3枚目となるソロ名義アルバムです。「ザ・タンブリン・マン」というタイトル通り、パンデイレタ(ガリシア独特のフレームドラム)を敲きながら歌う彼の声は伸びやかでまろやか、優しさが溢れています。「Nova Galega de Danza Company(新ガリシア舞踊団)」の一員としてがっつりと伝統を学んだディアスだけに、収録12曲の内の11曲を占めるガリシアのトラディショナルの解釈は見事です。きっちり基本を踏まえてはいますが、古くささや単調さは微塵も感じられません。
今回ゲスト参加しているバスク音楽の第一人者、トリキティシャのケパ・フンケラが2013年にその名も『ガリーサ(ガリシア)』という、ガリシアのミュージシャンたちと全面的にコラボしたアルバムを発売し、ベテラン女性ガイタ奏者のクリスティーナ・パトとベログエトのリーダーだった重鎮アンショ・ピントスらのユニット作『ルスティカ』が大いに注目され日本でも好調なセールスを記録しているガリシア音楽。その波に乗って登場したのが本作「ザ・タンブリン・マン」です。
スペインの中のケルト文化圏とはいえ、アイリッシュやスコティッシュとはまったく違うムードを持つガリシア音楽は、ダンスもセットの祝祭的なものから独特な哀愁が漂う内向的なものまで幅広いのですが、本作はそのどちらも堪能できる作品に仕上がっています。
今回は、アーティスト名である「シャビエル・ディアス & アドゥフェイラス・デ・サリトレ」は、ディアスの他、サンフォーナ(ハーディガーディ)とヴァイオリンのグティエル・アルバレス、ダイアトニック・アコーディオンのハビエル・アルバレス、そして、ボーカルにパンデイレタ等のパーカッション等をプラスした11名の女性グループで構成されています。さらに、上記のケパ・フンケラをはじめ、トラディショナルなイベリア半島のパーカッション全般と歌をフィーチャーした注目の音楽集団「コエトゥス」からはディレクターでもあるアレイシュ・トビアス、ガリシアを代表するガイテイロのショセ・マヌエル・ブディーニョ、カバキーニョ、マンドーラにフェルナンド・バローソ、ヴァイオリンにアロンソ・マリーノ等、ゲストも豪華です。