日本週報社。1960年刊、初版。非貸本。カバーに傷み(端に裂け・剥離・欠損、表面にスレ・傷、背寄りの部分および背に褪色)。カバー・本体ともに経年のシミ・汚れあり。カバー絵:遠藤琢郎

【内容紹介】
 前日の朝刊の広告欄にのった星商店の「英会話に堪能な青年を求む、ただし明日の午後四時から七時までの三時間だけ。報酬五千円」という広告を見て応募し、二十人近い応募者のなかから選ばれた青年は、パン・アメリカン機でアメリカから羽田にやってくるジョン・ヘクトなる人物を出迎える仕事を与えられる。その際、プロカードを見つけて近寄ってきた人物を、「星商店の者です」などど余計なことをいわず、すぐ自動車に乗せて、帝国ホテルへ連れていき、途中しつこく付きまとう者がいても、会話をさせてはいけないという、厳格な指示を受けていた。ヘクトは有名な宝石ブローカーで、古河なる怪しげなブローカーのつかんでいる情報によると、日銀の地下室の保管されているダイヤモンドを買い占めたいという意向をその筋に示しているという。そのヘクトは、若い秘書のような婦人を同伴しており、ふたりして出迎えた青年の案内で車に乗り、そのあとを古河がこっそりつけていく。古河の推測では、その筋の人物は日本一の宝石商、星商店の社長の星野省蔵をおいてなく、ダイヤモンド売却の仲介役をしようとしていると思われた。
 物語が進むにつれて、くだんのダイヤモンドに関心を抱いている人間が次から次へと登場し、さながらダイヤモンドの争奪戦やコンゲーム物の様相を呈してくるが、物語はそこから終盤に向かって、とんでもない展開を見せていく