三人の男は職を退いた。町方同心の藤村慎三郎、三千五百石の旗本夏木忠継、町人の七福仁佐衛門。旧友の三人はまだまだ気力体力ともに充分で、さてこれからどう生きるかと思案。三人の願いは、いい景色の中で暮らすこと。手頃な隠れ家「初秋亭」を根城に、江戸市中の厄介事解決に乗り出した。手前の女房がさらわれまして―初めての事件は、豪商からの突飛な話で始まった。