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富豪・戸田家の当主が死去し、残されたものは借金の山。やむなく未亡人(葛城文子)は屋敷を売り払い、末娘(高峰美枝子)とともに子どもたちの世話になろうとするが、なかなかしっくりいかない。そんな折り、次男(佐分利信)が満州から帰還してきて…。
日中戦争たけなわで太平洋戦争勃発直前という緊迫した時期、小津安二郎監督がほぼ5年ぶりに手掛けた作品。松竹オールスター・キャストを迎えているが、後の『東京物語』などにも通じる故郷の喪失と家族の崩壊という小津映画ならではのモチーフが、ここで確と描かれている。またドラマとしては次男が母と妹を満州に連れていくというハッピーエンドなのだが、その後の日中の歴史と照らし合わせると、非常に哀しいものがあるのであった。