「危ないじゃないの!」キャシーはどなった。車の前に突然、少年が飛び出してきたのだ。あやまりに来た少年の父親を見て、彼女ははっとした。十年前、彼女を捨てた初恋の相手、ダックだ。高校時代、ふたりは周囲もうらやむ仲だった。だが、水泳選手だったダックはオリンピックで優勝したとたん、西部の田舎町を捨て、カリフォルニアに行ってしまった。キャシーの牧場の隣の牧場を買い取って引っ越してきたという。この町で弁護士をしているキャシーは、数週間前、彼が帰ってくることを聞き、いずれはと再会を予感していたが、こんな形でそれがやって来るなんて…。