「ジェニファー・マッカーシーだね?」畑で苗いじりをしていたジェリーの耳もとで、声がした。見あげると、背の高いスーツ姿の男が立っている。泥だらけの畑とはあまりに場違いな男の格好に驚くジェニー。が、彼はケイン・パウエルと名のり、人なつっこい笑みを浮かべて話しかけてきた。「屋敷の庭の手入れをしたいが、いい造園業者を知らないかい?」その言葉に、ジェニーの心は沈んだ。彼の言うクリーバー屋敷の庭園を自分の手で美しくよみがえらせることが、わたしの夢だったのに。どんなふうにしようかと頭に描きながら、歩きまわったこともある。ジェニーは思わずこう口走しっていた。「わたしにやらせてください」