今も現役のオベール・ド・ヴィレーヌ氏と、著名な女性醸造家ラルー・ビーズ・ルロワ女史がそれぞれ一族の代表になりましたが、ルロワ女史は1992年に代表を辞任。現在はルロワ女史の甥であり、ドメーヌ・プリューレ・ロックの当主「アンリ・フレデリック・ロック」氏がDRCの共同代表を務めます。元来、ロマネ・コンティがある辺りは二千年前のローマ時代からブドウ栽培とワイン造りが行われてきた土地。当初から極上ワインを生み出すこの地にローマ人が『ロマネ』と名付けたのがその名の由来です。
10世紀以降は、修道院が畑を所有。18世紀初頭には、ルイ14世が持病の治療薬として毎日スプーン数杯のロマネ・コンティを飲んでいたという逸話が残されています。
その後、この畑を手に入れようと王侯貴族が競い合った結果、1760年にコンティ公爵「ルイ・フランソワ1世」がこの畑を所有し、ロマネ・コンティと名付けられました。
1789年のフランス革命により畑は没収されてしまいましたが、ロマネ・コンティの名は残り、今日に至ります。
今回出品の「リシュブール」特級畑は、畑の南側をロマネ・コンティ特級畑、ラ・ロマネ特級畑と接しているという素晴らしい立地に有ります。
DRCは、リシュブール全畑の45%にあたる3.51haの畑を所有します。これに続くのが、前述のラルー・ビーズ・ルロワ女史が率いるルロワの僅か0.78haですから、DRCの所有率がいかに高いかが一目瞭然です。
リシュブール特級畑の所有者は、この二社を含めて、合計11あり、その全てが自家元詰しています。
アンヌ・グロ等いずれ劣らぬ名門ばかりですが、DRCだけは別格。
伝説的な1959年は、専門誌デキャンター・マガジンが『死ぬまでに飲みたいワイン100本』で見事4位にランクインされました。
ブルゴーニュの神様「アンリ・ジャイエ」もまた2001年に引退するまでリシュブールを造り続けました。今やこのワインは、世界で最も高価で人気のある銘品となっています。
『金持ちの町』『濃厚な村』を意味するリシュブールは、その名が示す通り、リッチで、力強く、ゴージャスなピノノワールです。
『百の花の香りを集めてきたような香り』とも表現されるほど華やかな芳香性を持ち、バラやスミレにラズベリーにブラックチェリーなどの香りがいっぱいに広がり、土にカカオといった柔らかなニュアンスも感じられます。
熟成するほど円熟を感じさせる妖艶なニュアンスに変化していき、熟した果実にドライフルーツやドライフラワー、腐葉土にトリュフに紅茶などの魅惑的な熟成香も広がりを見せてくれます。
その味わいは、非常に洗練された果実の凝縮感と繊細さを兼ね備えており、シルクのように滑らかなタンニンはしなやかに構造を形成し、美しく伸びやかな酸は味わいをまとめ、優雅な風味を伴った長い余韻へと誘っていきます。
2017年は、ブルゴーニュの秀逸年。ヴォーヌ・ロマネのどの生産者に聞いても、即答で『素晴らしいヴィンテージ』と言う程に、ブドウの成育がことのほか素晴らしい当たり年となりました。
開花が始まった6月の気候条件は完璧で、ブドウは順調に結実。凝縮した果実味を備え、糖度、酸度、タンニンにおいても申し分のないブドウが収穫されました。
みずみずしくも熟度の高い大注目のヴィンテージは、パーカー・ポイントで95点と圧倒的な高評価を得ています。
熟成は、7年。ボトル・コンディションは完璧で、ここからさらなる飛躍のカーブを描いて行く手前。飲み頃は、2060年まで続くと予想されています。
『リッチでゴージャス 死ぬまでに飲みたい
』と言わしめるリシュブール・グラン・クリュは、モノポール(単独所有畑)のロマネ・コンティ、ラ・ターシュ、ラ・ロマネを除けば、造り手が望みうるヴォーヌ・ロマネ最高のグラン・クリュであることは間違いありません。