浪速書房。1961年刊、初版。非貸本。カバーの端に少裂け・ヨレ・剥離、表面に少スレ・傷。カバー・本体ともに経年のシミ・汚れあり。後ろの遊び紙に値札のはがしあと
【内容紹介】
〈銀座探偵事務所〉を運営するグッドのおバイとその所員の面々の活躍を描いたシリーズの最終編。「天国と地獄」「性相を見る男」「寝台自動車」「どうしても裸になりたい」「肉体価値」「干からびた処女膜」「レジャー亭主とレジャー女房」「ペテン師の盲点」「八号の夢」「ウェスタン山賊」「東京の感覚」の11編を収録。うち5編の内容は、下記のとおり:
「寝台自動車」
探偵事務所を無断欠勤したことのなかったトンコが、連絡をよこさずに二日ものあいだ休んでいるのを心配し、おバイは彼女の暮らすアパートを訪ねる。するとトンコは不在で、寝床の周辺にはおよそ彼女らしからぬ原稿用紙が丸めて捨ててあった。詩とおぼしきものが綴られており、なおかつ「文句をいわねえで首をしめてよォ」といった、おだやかならざる語句が並んでいた……
「どうしても裸になりたい」
実直そのものといった感じの電機メーカーの技術者が、探偵事務所に依頼にやってくる。聞けば、両親なきあとにふたりで暮らしていた妹が家を出ていってしまい、手紙ひとつ寄こしただけで、どこでなにをしているのかわからないという。くだんの手紙には、「裸一貫でガンバリます」といった、意味深なことが書かれていた。おバイが妹さんの最近の写真はないかと訊くと、依頼主がもじもじしながら洋服の内ポケットから取り出したのは、あられもない写真だった。このあと単なる家出事件と思われたものは、まったく予想もつかない展開を見せる
「干からびた処女膜」
今回の依頼人は建設会社の重役で、その夫人の持物をスリ取ってほしいという、意外な依頼を受ける。夫人はその品をケースに入れて肌身はなさず持ち歩いており、なおかつそれはとんでもない物であった。物語が進むにつれて、それにまつわる奇妙なエピソードが明らかになっていく
「八号の夢」
おバイの探偵事務所を二十二歳の尼僧が訪れ、涙ぐみながら両手で数珠を揉み鳴らし、「どうぞわたしをお救いください」と、仏門に帰依している者らしからぬ言葉を口にする。聞けば、本妻以外に六人の愛人を抱えている財閥会長の八号さん、すなわち七番目の愛人だという。彼女のとある境遇に深く同情したおバイは、ひと肌ぬいでやることにするが……
「東京の感覚」
本シリーズの完結編にあたり、おバイの祖父や父親も登場し、おバイがある決断にいたるという、シリーズの掉尾を飾るのにふさわしい一編
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