開 催 の ことば
徳川家康の第九子義直を藩祖とする尾張藩は、いわゆる徳川御三家の 筆頭として、六十一万九千五百石の格式を誇っておりました。尾張徳川家十九代三百五十年にわたってあつめ、伝えられた工芸品、絵画、書、
茶器などのおびただしい什宝は、現在名古屋の徳川美術館に収蔵されて おります。中でも、武士の魂ともいうべき刀剣については、数の多さと 質の高さで他にならぶもののないコレクションであります。
昭和四十年、徳川美術館と日本経済新聞社は「尾張徳川家名刀展」を 開催しましたが、このたび、さらにその内容を充実し、日本刀剣史の貴 重な資料である「駿府御分物御道具帳」をあわせて初公開することにな りました。
名刀百振をえらんで、尾張徳川家伝来刀剣の全容を公開する機会を得 たことを深い喜びといたします。
昭和四十六年四月
徳川美術館 日本新聞 社