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『チョーサーの文法点描』
山根 周 著(和歌山大学名誉教授)
A5版 200p. 紙装丁
ISBN: 4-900448-07-9
チョーサーの時代は NORMAN CONQUEST 以来、約300年、英語が市民権を回復してきた時代であり、語彙の上から見てもフランス語借用の絶頂期にあたり、英語が近代性を帯びてくる英語史上極めて重要な位置を占めている。
本書は英語史上どの時代でも興味の深い研究対象の一つと思われる。「 関係詞及び総合から分析へ 」 の歴史といわれる英語史の一面を反映する形容詞の比較変化並びに副詞の比較変化を取り上げた。形容詞の比較変化については、 「 著者の意図の一つは Knupfer, Mustanja, Mosse, Brunner, その他の書家の説の妥当か否かを実証を以って再検討するところにおかれているようである。そしてその勢力的な資料収集によって、初期の目的を達したと言える」 (『 英文学研究 』 XLI ) との御評価を頂き、また形容詞の比較変化に対する研究が比較的手薄な点に着目して本書の方法論を模倣し、対象文献をチョーサー以外のものにしている英語史研究家の読者もある。
関係詞においては、7,000に近いチョーサーに現れる関係代名詞の全てを網羅する統計表を含む徹底的な調査によって接触節の稀なチョーサーの散文に primary の that が65例現れることを指摘し、これが後に聖書の時代別訳の比較によって Handsome is that handsome does. におけるような that を Jespersen, OED, Visser 等の権威の記述に反し、OE 以来の複合関係詞とする見解を導くに至っている。
尚、英語史研究という共通性を備えていることをもって「 英訳聖書に於ける shall と will 」 の一篇を加えた。
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