米沢藩上杉家伝来『福岡一文字』鎌倉時代中期 本阿弥光美折紙・鑑定書 鞘書あり 令和六年登録山形の旧家から初出し品

福岡一文字派は鎌倉時代初期の則宗を始祖とします。その則宗は
後鳥羽上皇が諸国の名工を集めて作刀した御番鍛冶の筆頭に選ばれて
います。彼が最高の栄誉に浴した事で福岡一文字派は鎌倉時代中期に
かけて隆盛を迎えます。その華麗なる作品は大いに称賛され同時代、
京都の粟田口派と双璧をなした名工集団です。現在においても
その華麗な作風は多くの人々を魅了しています。
この刀は鎬造、庵棟、身幅広く、重ね厚く、反りやや浅めについて、切先は
延びています。気品を備えながらも力強さのある見事な姿をしていると思います。
鍛えは小板目肌に流れ肌や杢目肌が交じり、地沸がよくついて、映りの現れる
非常に美しい福岡一文字らしい鍛えになっていると思います。刃文は
丁子を主調として僅かに飛焼きが入って、匂深く、匂勝ちに小沸がついて、
足や葉が入って、金筋、砂流しかかり、豊富な働きで刃が明るく冴えています。
帽子は乱れ込んでいます。茎は大磨上無銘です。米沢藩上杉家の伝来品です。
昭和初期に活躍した鑑定家である本阿弥光美の折紙と鑑定書が付属しています。
登録は取り立てで山形県の旧家から初出し品です。その旧家は上杉家藩士に
連なるという家柄であるとお聞きしております。備前伝丁子刃の極みと評せる
福岡一文字を代表する一振りではないかと思います。

長さ/68.1cm　反り/1.4cm
元幅/31.5mm 元重/7.1mm 先幅/23.3mm 先重/6.0mm 刀身のみの重量780g
計測数値の誤差はご容赦下さい。

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