ウルリッヒ・リュックリーム(1938年生まれ)は、ドイツ出身の彫刻家です。彼はケルンで石工の訓練を受け、大きな石を使った彫刻作品を制作しています。この石は、切断される前の自然な状態で使用されており、石本来が持つ柔らかさや透明感を表現することを特徴としています
彼の作品は、人間が自然に手を加えることで生まれる「人間と自然の融合」を目指しており、石という自然の象徴をありのままの形で取り入れることで、その魅力を引き出しています
1960年代後半から、リュックリームはミニマル・アートやコンセプチュアル・アートを紹介する重要な拠点であった「コンラッド・フィッシャー・ギャラリー」とのつながりを持つようになりました。この関係を通じて、カール・アンドレ、ソル・ルウィット、リチャード・ロングといった著名なアーティストたちとも交流がありました
また、彼はアーティストのパレルモとアトリエを共有するなど、さまざまなアーティストとの共同作業を通じて制作活動を広げていきました
本書は、リュックリームの作品が生み出される過程に焦点を当てており、立体作品だけでなく、平面作品も紹介しています。特に彫刻の「触覚的な特徴」に対する新たな視点が示されており、彫刻の設置環境や素材がアーティストに与える影響といった、彫刻家にとっての基本的なテーマにも深く向き合っています
リュックリームの作品は、自然の素材である石を通じて、アートが持つ奥深さと魅力を探求するものと言えるでしょう
[発行年]1987年
[サイズ]29 × 36.5 cm
[頁数]ページ
[製本]ソフトカバー
1987年5月24日から8月20日にかけて、ドイツで開催されたウルリッヒ・リュックリームの4つの同時展覧会を記念して発行
ケルンの「ハレ・フォン・ウルリッヒ・リュックリーム」展覧会の15点の展示風景を収録