ヨーロッパ・コンサート2008
ラトル&ベルリン・フィル、レーピン
『ヨーロッパ・コンサート2008 フロム・モスクワ』
● ストラヴィンスキー:3楽章の交響曲
● ブルッフ:ヴァイオリン協奏曲第1番ト短調 Op.26
● ベートーヴェン:交響曲第7番イ長調 Op.92
ヴァディム・レーピン(ヴァイオリン)
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
サー・サイモン・ラトル(指揮)
収録:2008年5月1日、モスクワ音楽院大ホール(ライヴ)
ベルリン・フィルの2008年ヨーロッパ・コンサートは、モスクワ音楽院大ホールでおこなわれました。開催日は5月1日で、この日はロシアでは「春と労働の祝日」とされています。
プログラムは、ストラヴィンスキー『3楽章の交響曲』とブルッフのヴァイオリン協奏曲第1番が前半、後半がベートーヴェンの交響曲第7番というものです。
『3楽章の交響曲』は、もともとオーケストラのための協奏曲的な音楽として発案されたというだけあって、交響曲というよりは協奏曲風な響きと形式構造が目立っており、さらにドキュメンタリー・フィルムを通じて影響を受けたという第二次世界大戦への思いを、『春の祭典』など原始主義時代を髣髴とさせる過激なリズムと管弦楽の咆哮であらわしているのが特徴。結果として重層的な味わいの妙味がもたらされたと思われるこの『3楽章の交響曲』で、ラトルとベルリン・フィルが切り込み鋭い演奏を聴かせてくれています。
ブルッフのヴァイオリン協奏曲第1番は、オケ・パートにも聴きどころの多い作品ですが、ここでは、いまやロシアを代表する名手となったレーピンの名技と、ラトル指揮するベルリン・フィルのパワフルな演奏が最高の組み合わせとなっています。両者ともこの曲のCDが無いので、DVDのリリースはありがたいところです。
メインのベートーヴェンの交響曲第7番は、ベルリン・フィルのマッシヴな傾向がぴたりとはまった見事なもので、炸裂するティンパニと豪快なホルン、対向配置で飛び交う弦のパッセージも刺激十分で、スピード感、ダイナミズムとも申し分の無い素晴らしい聴きものとなっていました。