【寸法】
登録証種別：刀
登録証銘文:「無銘」
登録証長さ:72.5cm
登録証反り:2.0cm
元幅:3.05cm
先幅:2.3cm
元重:0.6cm
先重:0.4cm
【刀身】
本造、庵棟、身幅元先の幅ややつき、踏張りごころがあり、磨り上げながら腰反り残る。
鍛え、板目肌、杢目を交えて肌立ちごころとなり、地沸つき、映り立つ。
刃紋、互の目に肩落ち気味の小互の目を交え、匂口明るく、足・葉入り、砂流し、金筋かかる。
帽子、湾れ込み、浅く掃きかけて返る
中茎、大磨り上げ、先切
ハバキ、銀着一重
【説明】
代金子百枚の本阿弥光常古折紙、および山田浅右衛門の下札の付いた備前長船景光の傑出した無銘の磨り上げ刀になります。
長船景光は光忠以来の長船派の嫡流の鍛冶で、鎌倉時代末期から南北朝時代初期にかけて活躍し長船派の棟梁を担ったとされており
代別では長光の息子、兼光の父に当たります。一般的には長光・景光・兼光の嫡流を「長船三作」と称し、刀剣界の垂涎の的とされております。
景光は古来より名刀の代名詞となる鍛冶の一人とされ、国宝の小竜景光など、国宝・重要文化財に数多くの指定品がある事でも極めて有名で
特徴的な肩落ち風の互の目刃は一説には景光の創始とされ、彼の高名と共に現代まで大変に珍重されております。
本作は延宝四年に本阿弥光常によって代金子百枚の高額と共に備前国景光と極められており、実際に本作の出来を見てみますと
大磨り上げながら鎌倉以来の腰反り残る体配に、特徴的な肩落ち風の互の目刃を焼き、地鉄は杢を交えて映りが立つなど、一見して鎌倉末期の長船景光の作と極めるべきで
本阿弥が黄金にして百枚もの極めを付したのは妥当と思われます。
大変珍しい事に、本作には山田浅右衛門吉睦(八代目浅右衛門：1767年～1823年)の下げ札が残っており、その内容によれば摺付け（みぞおちの辺り）を斬り落とした
という恐るべき斬れ味が浅右衛門の花押入りの自筆証書によって保障されております。
吉睦の時代の試し料は極めて高額であった事、そして本阿弥の古折紙で百枚もの極めてあった事からも、大大名等の極めて身分の高い人物が保有していた事はまず間違いなく
実際に本作の白鞘は丸くて太い飴色の江戸時代頃の「大名鞘」であり、由来の良さを物語っております。（なお柄木は朽ち果ててしまったので直近の所有者が新調したそうです）
多少古研磨でまだ現代の鑑定を取得しておりませんが、伝来する折紙と浅右衛門下げ札という貴重な資料も付属しており、高い位列の鑑定書の取得は容易と思われ
もちろん刃切など鑑定に差支えのある致命的な傷はございません。
腰反り残る鎌倉の姿、映りのある地鉄、肩落ち風の互の目が揃った無銘の景光に、本阿弥折紙や山田浅右衛門の下げ札が残る刀となりますと、在銘の景光以上の歴史的な価値を備えた
至高の一振りとなる事は間違いないと思います。今後出回る事は絶対に無いと思いますので、この機会にぜひ家宝の一振りとしてお求めください。
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