思いどおりに宝を出すといわれる珠のこと。 サンスクリット語のチンターマニcintma iの訳。 如意宝、如意珠ともいう。 いかなる願望も成就し、意のままに、宝や衣服、飲食を出し、病気や苦悩をいやしてくれるまさに空想上の宝珠であり、また悪を除去し、濁った水を清らかにし、災禍を防ぐ功徳(くどく)があると信じられている。
如意宝珠(にょいほうじゅ、チンターマニ、英:Cintamani)とは、仏教において霊験を表すとされる宝の珠のこと。サンスクリット語でチンターとは「思考」、マニは「珠」を指す言葉で、「意のままに願いをかなえる宝」と解釈できる。如意宝、如意珠、または宝珠(ほうじゅ、ほうしゅ)と呼ばれる。チンターマニの形状は、日本では一般的に下部が球形、上部が山なりに湾曲して尖っている。一方、
チベット仏教の宗教画、建造物では下部が円柱として伸びており、上部が山なりに湾曲して尖っている。
一つの種類として、3つのチンターマニが積み重なり(一般的には下に2個横に並び、その上に1個乗った形)一つの火炎に包まれたものがあり、これは三弁宝珠と呼ばれる。
チンターマニは通常、
仏塔の
相輪の最上部に取り付けられる。そのほかには仏堂の頂上に置かれることがある。
擬宝珠(橋の欄干など寺院以外の建造物の装飾)は、チンターマニを模したものとする説がある。
如意宝珠の概念は天台智顗(
智顗)の
摩訶止観とともに日本に伝わった。平安時代には神道にもとりこまれ、稲を持った豊穣の女神
ウカノミタマが、富裕の神として
如意宝珠を持った姿で描かれるようになった。
ウカノミタマとともに信仰されてきた
如意宝珠の図柄は、
熊野本宮大社の牛玉宝印や
伏見稲荷大社のご朱印として押印され続け、現代でも信仰の対象として使用されている。なお宝珠印の原型と見られる炎を放つ液滴の図柄は、日本に仏教が伝わる前の6世紀頃、
高句麗の高山洞1号墳北壁の
玄武壁画の中央にすでに描かれている。