文庫です。 きれいなほうです。

東北の名家に生まれた容姿端麗・成績優秀な青年が自らの“生涯"を語る。「恥の多い生涯を送ってきました」——こぶしを固く握った子供、美貌の学生、表情のない白髪の混じりの男の三葉の奇怪な写真と共に渡された手記には、その陰惨な半生が克明に描かれていた。他人の考えていることの見当がつかない気まずさをうめるため、無邪気さを装って周囲をあざむいた少年時代。高等学校進学のため上京したものの左翼思想に浸り、次々と女性に関わりを持つ姿。やがては酒と薬物に溺れていき……。「人間失格」はまさに自分を欺き続けた太宰治の自伝であり遺書であった。作品完成の一か月後、彼は自らの命を断つ。時代をこえて読みつがれる永遠の青春文学。