








23.7×16.9㎝
簡易製本【紙縒綴じ】
全40丁
何ヶ所か、書き間違い部分に胡粉あたりを塗って、訂正してある。
かなり達者な筆致で惚れ惚れするぐらい整っていて、乱れさえない。読み易い。
内題 鷹三百首
部立て
春部 1丁表
夏部 4丁裏
秋部 7丁表
冬部 11丁表
小鷹四十六首 34丁表~40丁裏
【画像】画像3・8・10は山口大学図書館「棲息堂文庫」所蔵の板本画像を拝借した。
【内容】
下記に記したように、群書類従第19輯「管弦部・蹴鞠部・鷹部・遊戯部・飲食部」に載っており、その項目から察するに「遊興・飲食」に関わっているようで、「鷹」「鷹匠」にまつわる歌と見受けられる。
ただし、「板本」と「写本(国会図書館デジタルコレクション」と本書の三本は、内容、書き方などは略同じ(歌の前に詞書、後ろにその評らしきものが記してある。)であるが、群書類従「プリント4枚」は歌のみ、部立ては「春夏秋冬恋雑」部とはっきりしている。が、前三本にある「小鷹四十六首」がない。
ちなみに、三本の部立ては「春夏秋冬」まではっきりしているが、その後は「小鷹四十六首」まで、部立てらしきものは見られない。
結論的なことを言えば、群書類従に載せられているものは、他の三本から「歌のみを抽出」したもののようである。題が「鷹歌」なので「古鷹46首」省かれた?
【刊記】に関して
この本の巻末に
寛永十三(1636)丙子年正月日 是板行之覚か
右文化十三(1816)丙子歳仲春下旬於東武写之■■■■(墨で消してある。書き写した人の名か)
【私見】
「寛永十三(1636)丙子年正月日 是板行之覚か」の部分について。
この部分は、板本の刊記「寛永十三丙子年正月日」まで書き写した本(写本)がまずあって、その写本を書き写した人が「ああ!これは板本の刊記を書き写したものだろうと、合点した」、つまり、直接板本を書き写したのではなく、その写本を見て、更に書き写したもの、「回し読み」ならぬ「回し書き」されたものとみられる。だから、ひょっとして、この本の前に、何冊か書き写されたものがあったかも知れない。ま、それだけ「板本」が高価なものだったと言うことだ。
・因みに、京都大学附属図書館蔵「鷹三百首」の書誌によると
出版地・者不明
刊記 寛永拾三丙子年正月日
とあって、上記の「覚え」と符合する。
・また、これは「群書類従 第19輯 管弦部・蹴鞠部・鷹部・遊戯部・飲食部の内、「巻第三百五十七」に『鷹三百首和歌 前中納言定家卿』として掲載されている。(参考の為に、この作品を活字本の本文を印刷して同封しておく。)
・ところが、『フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』には「偽作」として件の作品を挙げている。
※全体的に、経年によるくすみ、汚れ、虫食いあり。
※経年による紙の劣化、変色、斑点状の染み、多数あり。