以下、所謂ブラクラ妄想ショートショートです~~
『刻印された運命』
2157年、東京の地下都市区画B-7。私は祖父から受け継いだ一つの指輪を見つめていた。古い金の輝きを放つそのシグネットリングには、不思議な文字が刻まれている。
「これは何を意味するんだろう」
私、佐藤ケイは、考古学研究所の若手研究員として、古い遺物の解析を担当していた。この指輪は、祖父が他界する直前に「時が来たら分かる」と言って私に託したものだった。
地下都市の暮らしは、地表の放射能汚染から人類を守るために始まってから既に100年が経っていた。人々は地下で完全な循環型社会を築き上げ、表面的には平和な日々を送っていた。
しかし、その平和は脆かった。
ある日、研究所のデータベースで偶然見つけた古い記録。そこには、このシグネットリングと同じような模様を持つ遺物が、かつて世界中に存在していたという記述があった。それは単なる装飾品ではなく、古代の技術を封印した鍵だったのだ。
「RATS」-その文字は、Restore Ancient Technology Systemの略だった。
私の研究が進むにつれ、驚くべき事実が明らかになっていった。このリングは、地表の環境を浄化する古代のシステムを起動する鍵だったのだ。しかし、その技術は危険すぎるとして、100年前に封印されていた。
地下評議会は私の発見を危険視し、リングの没収を命じた。しかし、祖父の言葉を思い出した私は、決断を下した。
深夜、私は地表へと続く非常用通路を使って脱出した。防護服を着て地表に出ると、荒廃した風景が広がっていた。しかし、古い地図を頼りに、かつての東京タワーの跡地へと向かった。
そこで私は見つけた。古代のコントロールパネルを。リングをはめ込むと、眩い光が放たれ、システムが起動した。
空から青い光が降り注ぎ、地表の汚染が徐々に浄化されていく。それは数日かかるプロセスだった。
評議会は最初、私を裏切り者として扱おうとした。しかし、システムが実際に機能し始めると、その態度を改めた。
一年後、最初の地表居住区が建設された。青い空の下、子供たちが本物の草の上を走り回る。祖父が託したリングは、今では博物館の中心的な展示品となっている。
私は時々、展示ケースの中のリングを見つめる。44.79グラムの重さに込められた希望が、人類に新しい未来をもたらしたのだ。
そして今、私は自分の孫に語り継いでいる。金色に輝くシグネットリングが、いかにして人類に第二のチャンスをもたらしたのかを。
それは単なる装飾品ではなく、希望の象徴となったのだ。
22.17ミリの輪の中に、私たちの未来が詰まっていた。