長岡鉄男氏1970年刊の『マイ・ステレオ作戦』に載っていた無指向性行燈スピーカーを作ってみました。第68作目です。学生の頃から作りたいと考えていましたが、接合部の難易度が高く、ずっと躊躇してきましたが、最近ようやくその気になりました。サイズ的には低音が期待出来ないので、支えの部分を筒状にして、前作に続きバックロードホーンのスワンタイプにしました。流石に20作目を超えてからは、以前の製作で感じた問題点など幾つも解決し、完成度が上がってきてます。
実はその気になったのは、安倍晴明神社で貰った五芒星が描かれた木製の鳴り物を見ているうちに思い立っちました。図面にトレースして、枠作りをしたのが最初です。五芒星の魔除けのパワーも込められています!?
下部の構造は、中央に建築用紙筒(ボイド管)を奥まで差し込み、音道を前後に分割させて1往復し、更に合体して左右に分割させて1往復させて、下の開口部から出します。
ボイド管の断面が44平方cmほど、昇る音道が前後合わせて46平方m、降る音道が48平方cm、そこからテーパー状態になり、昇り切った音道が192平方cm、降り切った開口部が328平方cmと、見事なホーンになってます。
内部のホーン長は2103mm、ボイド管と合わせたホーン長は3m程です。
長岡氏はヴィクターの無指向性名器GB-1を真似て、フォステックスのFE83×4で設計したのですが、12mm厚の合板で組んだ五角形の枠の上下を、10mm厚の松等の無垢材で塞ぎ、4面に10cmウーファー、正面にツィーターを配置しました。
ソニー製のSS‐V75AVから取り外した10cmフルレンジは、コーン紙が紙製、センターキャップは樹脂製、エッジはウレタン製ですが劣化の兆候はありません。マグネットは径65mm厚さ10mmと径55mm厚さ8mmのダブル・フェライト・マグネット、インピーダンス8Ω、最大入力は60Wです。
パラレル接続とシリーズ接続を組み合わせ、システム・インピーダンスは8Ωです。
30mmソフトドーム・ツィーターもケンウッド製。ダイアフラムが布製、マグネットは径60mm厚さ10mmと径50mm厚さ8mmのダブル・フェライト・マグネット、インピーダンス6Ω、最大入力は30Wです。4.4μFを挟んでクロスオーバー周波数は4.2kHzです。
フルレンジとターミナルの間はオーディオテクニカのOFCケーブルで繋ぎ、デュアルバナナプラグ対応のスピーカーターミナルは金メッキ仕上げです。エンクロージャーの中央にボイド管が貫いていて定在波の心配がないので、吸音材は無しです。
試聴では、ペダルトーンで埋め尽くされているJ.S.バッハのペダル練習曲BWV598(手持のテストCD;トン・コープマン:1734年製ミュラー・オルガン;アムステルダム;最低音36Hz)を、見事なバランスで鳴らしました。この曲は勿論足鍵盤の練習用でもありますが、当時最高のオルガン・コンサルタントでもあったバッハが、すべてのパイプがちゃんと鳴っているかどうかのチェックをするための曲でもあり、スピーカーにとっては、低域に変なピークやディップがないかどうかのテストとしても使える便利な曲です。もちろん変なピークやディップはありません。
本格的試聴では、J.S.バッハの前奏曲とフーガハ短調BWV546(手持の最強テストCD;トン・コープマン:ミュラー製作オルガン1734;最低音32Hz)の最初のCのロングトーンは、メガ・スワン程ではないにしろ、かなりの迫力で鳴らしました。
バッハの最高傑作、前奏曲とフーガハ短調BWV548(手持のテストCD;トン・コープマン:1692年製シュニットガー・オルガン;フローニンゲン:最低音36Hz)の方は、更なる大音量でも、満足いく迫力で鳴らし切りました。
本領発揮はやはりオーケストラ!完全無指向性の音場の広がりは見事で、何処にスピーカーがあるのか、眼を閉じれば全くわかりません。
ボイド管は差込なので、更なる改造も自由です。当然180度回転自由なので、置き場所には困りません。
外観は遠目にはキレイですが、古エンクロージャー部分はイマイチ。上部は濃い目のニスで、マズマズです。
重さ10.0kg、サイズは33×23×97cmです。
(2024年 12月 25日 22時 41分 追加)
燃費の良いクルマに変えた為、直接お届けを値引きします。1kmあたり20円になります。