◎“いにしえの謎をもてあそべば危険を招く"——それは過去から未来への〈警告〉 ◎12の書板からなる『ギルガメシュ叙事詩』には、もう一つ隠された〈13番目の書板〉があった。そこに書かれていたのは、“未来を予知する方程式"。その方程式を解き明かした時、人々は人類に訪れる驚愕の未来を知ることとなる……。人類の叡智か、はたまた神からの啓示か、人類へ警鐘を与えるメッセージの謎を描いた、戦慄のサスペンス・ミステリー! ◎あらすじ 石板の謎を解明する手がかりを求めて、ミナとジャックは英国に渡った。旧知のヘブライ学研究者モシェ・ショバイに会ったのち、ふたりは密かにケンブリッジに行く。イスラエルのユダヤ教会で入手した18世紀の手紙に書かれた〝ヒルダーシャム〟という名前の謎を探るためだ。ケンブリッジ大学のヘブライ学研究者ダニエル・バマートとその父親の協力を得て、ふたりは謎の核心に迫っていく。石板に刻まれた数式が過去から未来へ送られたメッセージだとしたら……。だが、ウィートリーの放った追っ手と、謎の組織が送り込んだ追っ手が容赦なくふたりを追いつめていく。果たして、ふたりは石板の予言を解き明かし、人類の悲劇を阻止できるのだろうか? ■『ギルガメシュ叙事詩』とは アッカド語で書かれたメソポタミア文学の中で最も有名な作品であり、世界で最古の叙事詩と言われる。19世紀にアッシリア遺跡から発見された遺物の一つ。 最古の版は四〇〇〇年前までさかのぼり、『標準版アッカド語版ギルガメシュ叙事詩』と呼ばれる最終版は紀元前一三〇〇年から一一〇〇年のあいだのいずれかの時点で、神官シンレキウニンニによって編纂され、十二枚の粘土板に刻まれたとされている。十一枚目は原初の大洪水の物語を伝えていることで有名である。 大英博物館の修復員であるジョージ・スミスが解読を進め、1872年、〈十一番目の粘土板〉が『聖書』と対比される大洪水の物語を伝えていることが判明し、有名になった。初めのうちは神話と見なされていたが、その文学性に注目が集まり次第に叙事詩とされるようになった。主人公のギルガメシュは、紀元前2600年ごろ、シュメールの都市国家ウルクに実在したとされる王であるが、後に伝説化して物語の主人公にされたと考えられている。