本革で作った文庫本用のブックカバーです。
厚さ調節用のフラップは設けず、シンプルなデザインとしました。
写真の中公文庫の北杜夫『或る青春の日記』は約600ページあり、厚さは2.4cmほどですが、これがギリギリ収まります。
使用した革は、革ジャン用にタンニン鞣された厚さ1.5mmの馬革。色は黒です。通常より若干厚めでしっかりした質感です。
日々の読書で使い込めば使い込むほど手に馴染み、艶が出てきます。
是非長くご愛用下さい。

製作は以下の通り、時間をかけて丁寧に行っております。

①床面の磨き
 タンニン鞣しの革ならではの工程です。
 革の裏面にフノリを塗布し、専用のガラス板を用いて均一に磨きます。
 これにより革の裏面が滑らかに仕上がります。

②革の接着
 革の接着面をヤスリで荒らし、ゴム糊を用いて接着します。
 次工程のミシン掛けの際、ずれないようにするために必要な工程です。

③ミシン掛け
 皮革製品に用いる工業用ミシンを使用しています。
 工業用ミシンにも色々ありますが、ステッチの締りが良いといわれる、半回転カマのミシンを使っています。
 直線的ではなく、ミの字のステッチになる皮革用の針で縫っています。
 糸は皮革用ミシン糸としてスタンダードなビニモを使用しています。光沢感のあるきれいな糸です。

④ヘリ落とし
 革のヘリは、そのままだと角が立っているため、サンドペーパーで角を落とします。

⑤ヘリ磨き
 床面と同じように、フノリを使って磨きます。
 この工程もタンニン鞣しの革ならではの工程です。
 この仕上げにより、持った時に手にやさしくなじむようになります。

【大きさ】
縦約16.4cm×横約24.6cm
裏の見返しは約7.8cm