それは、一冊の本から始まった。『アルファベット・シティ』―そこはブロンクスと並ぶ世界屈指の危険地帯。スティーヴンはこの無法地帯に一年間潜入し、その模様をつづった作品を完成させる。彼はこの一冊で出版界のヒーローとなり、『アルファベット・シティ』はベストセラーの上位にランキングされる。しかしこの作品の制作過程には重大な秘密があった。その秘密によって引き起こされる不条理劇。やがてFBIや麻薬取締局が捜査に乗り出し、スティーヴン自身もその惨劇に巻き込まれる…。真実と偽り、そして欲望と偶然が怪物へと変身を遂げる、息もつかせぬ本格不条理サスペンス。