裕福な家庭で育ち、初恋の相手泰治と婚約した品子は幸せの絶頂にあった。だが結婚後も夫の心は気高く美しい大使令嬢の真津子に向いていた。妻にも祝福される恋をしたい。そんな泰治の理不尽な求めにも素直に従い、品子はひたむきに愛を貫く―。昭和初期の華やかな上流社会を舞台に、男性に翻弄されつつも、逞しく成長する一人の女性の生き様を描いた長編小説。