c1912-1956 Royal Doulton “Old Leed Sprays”


ロイヤル・ドルトン
「オールド・リード・スプレイ」


八面体の古臭~い、ティー・トリオ

陶器風を装う素朴な手描き

結構使えるバランス


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 カップもプレートも八面体。形に特色あるこのトリオは、同じシェイプの「ノーフォーク(Norfolk Blue)」(出品中)よりかなり遅く、1912年から1956年まで作られています。ちなみに、NorfolkBlueは、1890年‐1901年に製作され、その後8面体でない丸型へ移行。
 「オールド・リード・スプレイ」は、「ノーフォーク」と共に名前はよく知られていて、ロイヤル・ドルトンの手描き時代を通じてずっと作られています。相当人気のあったシリーズで、生産量も多く、当時の稼ぎ頭だったのではないかと思われます。

 同型の八角形シリーズで最も不利のは「南京」(Nankin)でしょうか。これは完全なシノズワリで、1879年から1902年まで作られ、1912年に再び作られています。
 1910年代を越えても、ボーンチャイナを使わない、土臭さを意識した「アースウェア」が綿々と作られた。そしてどのシリーズも、わざと古臭く、素朴に仕上げています。当時も現在以上にこうした「土臭い」カップを愛する人が多かったようです。
 手描きの花も素朴そのもの。土に顔料が滲むような仕上げで、すべての色が沈んでいます。他にも同じシェイプの花のシリーズがあり、花の色が違うだけで、同じ仕上げ。よく見ると、この花は「シノズワリ」が僅かに感じられるのですが、「朧げに」描かれているためにシノズワリ色が薄く、万人向けになっているのも永く受け入れられた理由でしょうか。同時期に、より硬質な八面体でないタイプも並行して作られています。土っぽい八面体シリーズの後継と見られがちですが、実は「後継」ではないようで、こちらの方をより女性向タイプとして設定したのでしょう。

 ノーフォークは見るからに「男のカップ」。女性向にときれいな花のカップにしてみたものの、アースウェアから感じる武骨さは消えなかったということではないでしょうか。しかしそれが現代でも大きな魅力になって生き続けているのだと思います。

 出品者はマイカップの一つとして、ノーフォークの縦長八面体カップを使っています。とてもいいですよ、八面体。無骨な角いハンドルも気に入っています。こういうカップを現代に蘇らせてくれたらと思うのですが。「青もの」はどうもという方なら、こちらはどうでしょうか。先にも書いたように、これもやはり男のカップだと思うので。

 カップの高さ5.5cm、口径8.5cm。ソーサーとサイドプレートの直径はそれぞれ、14cm、16cm。

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ロイヤル・ドルトン
 1815年、ジョン・ドルトン(John Doulton)がロンドンのランべスで創業。
2代目のヘンリー・ドルトン(Henry Doulton)は蒸気機関を採用して生産効率を高め排水設備などを増産してロンドンの街づくりに寄与。
 1877年、バースレムに窯を移す。ボーンチャイナを導入、芸術的なテーブルウェアつくりを行う。
 1887年、ヘンリーは陶磁器界では初めてのナイトの称号をヴィクトリア女王から与えられる。1901年にはエドワード7世より「ロイヤル」の称号。
 ミントン、ロイヤル・アルバート、ロイヤル・クラウン・ダービーを傘下に収める世界最大の陶磁器メーカーになったが、やがて経営不振からウェッジウッドに吸収される。


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No.108.001.001

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