その日のニューオリンズはマルディグラのお祭り気分に浮かれていた。ダリアのいるホテルのラウンジも、仮装する人々でひしめいている。この中の誰かが私の命を狙っている。いったいどうすれば…。そのとき、唯一信じられる人物がダリアの目にとまった。取材のために世界を駆けめぐり、派手な女性関係でゴシップ紙をにぎわす超一流のタフ・ガイ。あのローク・オマリーが―テレビ局の看板レポーターの彼が、私の命を狙うはずはない。ダリアに選択の余地はなかった。仮面で目元を隠したまま、一面識もないロークに声をかけ、キスをした。「捜していたのよ。今まで、どこにいたの?」そしてロークは、そのキスに、謎めいた美しい彼女に魅了された。だが人込みではぐれ、ふたたび姿を目にしたとき、彼女は銃で撃たれて、通りに横たわっていた。