千切良十内、六十一歳の老十五屋。五、六、四を足すと十五になるのを掛けた殺し屋の俗称だ。二十三年前まで常陸国麻生藩二万三千石、新庄直矩の家臣だった十内だが、喧嘩で人を斬り、脱藩。江戸で餓死寸前に拾われて殺し稼業に入って以来、馬針を使った手練の技で、なんとか生き延びている。今度の依頼は、本所の石原町に住む二百石の旗本だ…。