名機 YAMAHA TC-800GL
大きなキズなく美品
電池押さえスポンジ貼り替え、液漏れ跡なし
再生OK
録音OK
キャプスタンベルト、リールベルト交換
リーフスイッチ接点クリーニング
照明電球新品交換
テープ速度調整
外装パネル洗浄(上下とも)
【整備品・美品】ヤマハ TC-800GL 録音/再生OK 取扱説明書&カタログ付属 Designed by マリオ・ベリーニ
中古で入手したオーディオ機器や機械式カメラのメンテナンスやリペアを趣味で行っています。
イタリアのデザイナー、マリオ・ベリーニ氏のデザインによるカセットデッキ・ヤマハTC-800GLです。
当時発売された2モデルの中のDOLBY NRを装備した上級機です。
縦でも横でもない「斜め」というおよそ凡人には思いつかないデザインで日本のオーディオ史に残る名機です。
発売当時私は中学生でしたが、初めてこのデッキを見た時の衝撃は今も忘れられません。
【入手時の状態】
通電OK、再生ボタンを押すとキャプスタンは回転しますが巻取りリールの回転が不安定で、再生中に止まってテープが引き出されてしまいます。再生音には周期的な音揺れと歪みがあり、再生ボタンを強く押すと歪みがなくなるという不思議な症状でした。背面のフラップ式スタンドはクリックが効かずブラブラです。
問題は多いですが外観はなかなか綺麗ですので、きちんと整備すれば良い状態になりそうです。
さっそく整備を開始します。
【整備内容】
まず内部ベルトの確認です。キャプスタン、リール共に回転するということはベルトは健在です。
加水分解でドロドロに溶けたベルトをアルコールで綺麗に拭き取るのは大変な作業なので、これだけでも嬉しいです。
キャプスタンベルトを外すと最近交換されたようでほぼ新品でした。しかし幅の広いベルトの幅を詰めて(切って)装着してあり、その切り方が非常に雑で幅の広い部分と狭い部分があり、それでモーターの回転負荷が変わって音揺れの原因になっていました。
幸い狭い部分でも規定幅(5mm)以上あったので、全周を規定幅通りに切り直したところ音揺れは解消しました。
リールの回転不良はリールベルトの伸びによるもので、新品ベルトに交換してこちらも解消しました。
リールベルトはフライホイールの下に掛かっていて交換が難しいため放置されることが多いですが、たいへん重要なベルトです。
次に再生音の歪みの修理です。
内部を確認したところこのTC-800GLは前期モデルでした。
この時代のカセットデッキにはカムやレバーでON/OFFするリーフスイッチが多く使われており、画像7にも3つのリーフスイッチが写っています。この中で最も重要なのが中央に見える赤と白の太いコードが繋がったリーフスイッチです。
これは再生ボタンを押すことによって押され、再生ヘッドからの信号の接続先を切り替えるスイッチです。
増幅前のヘッドの信号は非常に小さいので、このスイッチの接点に酸化物や汚れが付着すると音が出なくなったり歪んだりします。そこでスイッチの接点を磨いて接点復活剤を塗布したところ歪みは解消されました。
再生ボタンを強く押すと歪みがなくなるのは接点が強く押されて導通が良くなるためで、これが解決のヒントになりました。
ちなみにTC-800GLの後期モデルではこのリーフスイッチはスライドスイッチに変更されています。
よほど接触不良が多かったのでしょう。
メーター照明にムラがあって気になったのですべて新品に交換しました。
画像8で電球の明るさに違いがあるのは基盤上の場所によって電圧が異なるためです。電球の不良ではありません。
当時の回路設計技術ではすべての箇所の電圧を同一にするのは難しかったのでしょう。
以上でメカの整備が完了したので、内部に溜まったホコリや汚れを清掃し、テープを数本再生して暖機運転した後、315Hzの基準信号が録音されたテストテープを用いてテープ速度を基準値に合わせました。もちろんピッチコントロールは「0」位置です。
クォーツロック方式以外のカセットデッキはベルトを交換するとテープ速度が変わるので、ベルトを交換したら基準テープを使った調整が必ず必要です。勘(聴感)での調整など論外です。
なおこのデッキはすべての配線がハンダ付けで接続されていてカプラーは全く使われていません。そのため整備性は最悪で、不用意に基盤を持ち上げるとハンダ付けが千切れてどこに繋がっていたか分からなくなります。
これまでデタラメな場所にコードが繋がっている中古品を何台も見てきました。素人さんが手を出すのは危険なデッキです。
音出しをしてみると良い音です。配線がハンダ付けされているということは接点損失がないということで、そのためか音の鮮度がたいへん良いです。整備性は最悪ですがきちんと整備すればそれに応えてくれるデッキです。
【外装クリーニングについて】
本モデルは本体メカ部と上下ケースが完全に分離出来るので、上下ケースを洗剤とブラシで丸洗いしました。
本体が樹脂製のため研磨剤入りのクリーナーは使えず(表面がツルツルになってしまう)、これがいちばん綺麗になります。
シンクに黒く汚れた泡が流れているのが見えると思います。もちろん乾燥させてから組み立ててあります。
電池蓋の裏のボロボロになった電池押さえスポンジは新品に貼り替えました。液漏れによる電池室の腐食もありません。
ブラブラになっていた背面のフラップ式スタンドは、内部の板バネを支えるボスをエポキシ系接着剤で補強接着してクリックが効くように修復しました。このボスはすべての個体で折れています。使用上は支障ありませんが明らかな強度不足、設計ミスです。
【付属品について】
AC電源コードならびに取扱説明書とカタログが付属します。いずれも原本から複製したものです。
このモデルの電源コードは現在では使用されていない特殊な形状で、いま手に入る一般的なメガネ型2芯コードでは作動しないばかりか、機器を破損させる恐れがあるので要注意です。
取扱説明書はオリジナルは大きな一枚の紙の両面に印刷されたものが折り畳んであり冊子状になっていません。そのため1ページずつ複製して冊子状にしてあります。ネットで検索すると出てくる取扱説明書は画質も悪く白黒ですが、本物はこのように黒と緑の2色印刷です。
【支払いおよび発送について】
大阪府からゆうパック着払いで発送します。仕事の都合で発送が遅くなる場合があります。
恐れ入りますが落札後24時間以内に購入手続き完了出来る方のみご入札下さい。
落札したまま取引きせずに放置したり、支払い期日になって給料が遅延だの家族が入院だのと支払いを引き延ばし、最後はお互い評価なしでキャンセルさせてくれと言ってくる悪質な落札者がいるためです。
24時間を過ぎた場合は落札者都合で削除し「非常に悪い」の評価をつけます。
報復評価があった場合はそれも評価に記入します。
【保証について】※必ずお読みください
当方プロの修理業者ではありませんので保証はありません。
出品時点では正常に動いていますが、たいへん古い機械製品ですので今回の整備箇所を含めてこの先いつ・どこが不調(寿命)になるかは予測出来ません。輸送中の振動で不調になる場合もあります。
またすべての機能は確認していませんので見落としがある場合があります。
到着時に通電しない以外はクレームや返品・返金は対応いたしませんので、納得いかない方はトラブル防止のため入札しないようお願いいたします。入札された時点でご納得いただいたと判断いたします。
個人オークションは個人の不要になった品物をお譲りするもので、中古オーディオ店の通信販売ではありません。
この2つの区別がつかない方は絶対に入札しないで下さい。
また製造から数十年が経過していますので、作動している部分も新品時の性能は出ていないとお考え下さい。
新品状態をご希望の方は購入後メーカー整備に出すか、専門ショップから保証つき商品を購入するようお願いします。